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十和田アートグッズデザインコーディネーター養成研修

9月16日(金)から10月16日(日)にかけて、十和田市現代美術館、banktowadaを会場に、十和田アートグッズコーディネーター研修を開催しました。

この研修は十和田市雇用創造推進協議会が主催し、tecoLLCがコーディネートを請け負って昨年度から実施しています。研修では十和田の地域資源の本質的な意義や価値を見えるかたちにして、地域に貢献できるデザインを考える人材を育成することをねらいとしており、今年度は十和田市内にある松本茶舗と酒造メーカーの鳩正宗株式会社に向けて提案をしました。

受講生の中にはデザイナー経験者も数名いましたが、ほとんどの方がアート、デザインの仕事の経験はなく、事務職の方、農業を営んでいる方、商売をされている方などが集まりました。また、十和田市在住の方がほとんどですが、青森市、八戸市や、神奈川県の川崎市から参加してくださった方もいました。

第1回 ガイダンス

第1回の研修ではtecoLLCの代表、立木祥一郎から研修全体の説明をした後、受講生のみなさんがどんな目的で研修に参加しているかを匿名で書いてもらい、それを読み上げました。ノウハウを学んで自分の仕事に活かしたい人、具体的な目標は決まっていないけど何かしたいと思っている人など、いろいろな人が受講してくれているようです。

第2回 アイデアの種を見つける

第2回では松本茶舗の松本恵美子さん、鳩正宗株式会社の統括部長の中野渡博幸さんから、それぞれのお店、会社にはどのような歴史、特徴があるかなどを伺いました。

松本茶舗は十和田市中央商店街に店を構えて創業100年を超える老舗のお茶屋さんで、十和田市民に長く愛されているお店です。店主の松本柳太郎さんと奥さまの恵美子さんは十和田市現代美術館ができてからアートがますます大好きになり、展覧会のたびにお店にアートの要素を取り入れて、お客さんに街の中でも楽しんでいってもらいたいと考えています。
そんな松本さんご夫妻は、今回の研修ではディスプレイを変えるなどして、もっと観光客が入りやすい店にしたいそうです。ただ、もちろん常連のお客さんも大切なので、十和田市中央商店街に昔からある松本茶舗としての「らしさ」は残したいとのこと。

鳩正宗株式会社は日本酒、八甲田おろしの変わりダネ、「りんご酸酵母仕込みの八甲田おろし」を題材としました。

このお酒は一見、普通の八甲田おろしと同じに見えますが、白ワインのようなさわやかな酸味と、日本酒のしっかりとした味が絶妙なバランスで、これまでにない日本酒という印象です。鳩正宗の中野渡さんは30代の女性に飲んでほしいと考えているものの、限定生産でたくさん供給できないことなどから、あまり明確なターゲットを設けずに販売しているようです。
これらの要望に対してどんな提案ができるか、研修の中で講師の方々のお話を聞きながらアイデアをまとめていきます。

第3回 デザインができることは?

第3回ではデザインディレクターの萩原修さん、高坂真さんにお越しいただき、デザインの歴史やデザインとは何かをお話いただきました。さらに、これまでたくさんのデザインプロジェクトに携わっている萩原さんから、ネットワークを作るときのポイントなどを教えていただきました。萩原さん曰く「プロジェクトを行うときはやりたくない人が入っていないことが大事。自主的に参加する人たちだけでやるといいプロジェクトになる。」とのこと。なるほど、これは当たり前のようで実は難しいことではないでしょうか。

そこから研修の本題に戻して、今回のテーマでもある「十和田の地域資源」について、受講生みんなで話し合ってもらいます。
バラ焼きや黒にんにくなど食に関係することや、奥入瀬、稲生川の恵みなど自然に関すること、裂織など伝統・歴史に関すること、十和田観光電鉄など交通に関することなどたくさんのキーワードが出てきて、普段はあまり意識しない、十和田の魅力を改めて考える機会になりました。

第4回 アイデアの種を膨らまそう!

第4回では、tecoLLCプロデューサー對馬眞のファシリテーションで前回の研修で考えてもらった「十和田の地域資源」のキーワードをもとに、それがどうしたら良くなるか、一人一人考えて発表してもらいました。漠然とおもしろい素材だと思っていても、その活用方法はあまり考えたことがないようです。とにかくアイデアを出して!と言われて困惑しながらも、みなさんしっかりと意見をまとめて発表してくれました。みなさんの発表を聞いて、それぞれがどんなことに興味を持っていて、何をやりたいと思っているかが、なんとなく見えてきました。

第5回/第6回 町を歩いてヒントを探そう!

第5回、第6回は午前午後と連続して少し長めに時間をとって、題材の一つである松本茶舗さんのお店をみんなで見学に行きました。
案内役は十和田市をよく知る十和田市現代美術館特任館長の小林央子さんと株式会社オアゾの代表で、プロデューサーの松田龍太郎さんです。松本茶舗さんは名前のとおり茶とお茶に関係するものを扱っているお店ですが、その他にも、食器、キッチングッズ、日用品などお店の中にはたくさんの商品が並んでいます。見て行くと「これはいつの時代のもの?」と思うものがたくさんある、宝探し感覚で楽しめるお店です。その何でもアリの感じが松本茶舗さんの魅力ですが、受講生からはおもしろいけど何の店かわかりにくい、商品を探しにくいなどという意見もあり、松本茶舗さんの魅力を損なわずに、たくさんのお客さんに来てもらえるようにするには?とみんな考え出します。見学のあとは研修会場に戻って、松本茶舗さんには何を提案したらいいかを一人ずつ発表してもらいました。
ここまでは、感じたことを言葉にしたり、それを人に伝えることを何度も試して、最終回のプレゼンテーションに向けて、練習を重ねてもらいます。

第7回 見つけたヒントを膨らまそう!

第7回ではこれまでたくさん出てきたアイデアのもとになる要素を、どうやって自分なりのアイデアに仕上げるか、プロデューサーの松田龍太郎さんにお話いただきました。
ここから、最終のプレゼンに向けて、全体を3チームに分けてチームごとに話し合いながら進めてもらいます。 松田さんによると「ブランディングとは差別化すること。そのために、リサーチをして良いところ、悪いところを考えて、題材のどこにフォーカスすべきかプランを作り、コンセプトを立て、デザインを作る。そこまでの組み立てができていないとデザインを何度も修正したりすることになり、ロスが多くなる」とのこと、研修ではこれまで感覚的にアイデアを出してもらうことが多く、それを各自どうやって整理するかが課題でしたので、松田さんのアイデアのまとめ方はとても勉強になりました。

第8回 ポイントを整理してみよう

第8回は青森県産業技術センター研究員の工藤洋司さんにお越しいただき、製品価値評価法というものを使って、松本茶舗、鳩正宗の八甲田おろしリンゴ酸酵母仕込みそれぞれのの機能的価値、性能的価値、表情的価値などを分析しながら、どういったものが求められているかを考えました。少し難しい作業ですが、ここでしっかりと題材の価値を掘り下げておけば、その後の提案やデザインの方向性が定まるはずです。

第9回/第10回 伝えたいことをまとめてみよう

第9回、第10回はチームごとに松本茶舗、鳩正宗への提案をまとめて、最後のプレゼンに向けた企画書などの準備をしてもらいました。ここまでくると、何も指示がなくても各チーム黙々と話し合いや作業を続けていました。

第11回/第12回 まとめたものを伝えてみよう-2

第11回、第12回は研修のクライマックス、プレゼンテーションです。クリエイティブディレクターの小池一子さん、松本茶舗の松本さん、鳩正宗株式会社統括部長の中野渡さんにお越しいただき、チームごとにご講評いただきます。
提案の内容は、鳩正宗のお酒は女性に向けて少量パッケージにしたい、社名にある「鳩」をモチーフにしてデザインをしたい、など、松本茶舗に対してはお店の歴史をいい意味で感じさせることができるものとするため、家紋を使ってオリジナルグッズを作りたい、お店の外にお茶を飲むことができる場所を作りたい、などがありました。
小池さんからは、「全体的にリサーチは良くできているが、プレゼン方法によってもっとよく見せることができる。伝えることをもっと整理すること。お酒は女性向けにかわいいラベル、パッケージにしたいのもわかるが、すでに定着している八甲田おろしブランドもアピールすべき。研修の中でいろいろなアイデアが出たが、それをもとに実際どう進めて行くか考えるスタート地点として、次の展開につなげてほしい。」など、真摯なご意見をいただきました。受講生のみなさんは、プレゼンはもちろん、企画をまとめるのも初めての経験でした。しかし、みんなそれぞれ十和田に対する思いを持っており、それに対して小池さんが真剣に答えてくださったことは、今後十和田で活動をしていくうえで励みになると思います。

全体を通してみて、受講生のみなさんは慣れない作業やなじみのない言葉でとても大変だったと思います。
研修の最後に受講生のみなさんに感想をいただいたところ、みなさん、戸惑いもあったが楽しかった、いい経験だったと言ってくださいました。
たくさんの講師の方、みなさまのお力添えで、受講した方達が満足して研修を終了することができました。ご協力いただいたみなさま、ありがとうございました。
研修としては10/16(日)をもって終了となりましたが、今後も研修で出てきたアイデアをもとに、プロジェクトとして継続して形にしたいと思います。
松本茶舗の松本さん、鳩正宗の中野渡さんにもご協力いただけるとのことで、受講生のみなさんと連絡をとりながら、進めて行きたいと思います。

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