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十和田アートグッズデザインコーディネーター養成研修
十和田空想デパート

9月29日(土)から11月10日(土)にかけて、十和田市現代美術館、bank towadaを会場に、十和田アートグッズコーディネーター研修として十和田空想デパートを開催しました。この研修は十和田市雇用創造推進協議会が主催し、tecoLLCがコーディネートを請け負って2010年度から実施しています。2012年度は研修参加者の十和田への想いにより考え出された商品を取り揃えた十和田空想デパートという架空のデパートを11/11(日)に一日限り開店するものとし、それに向けて研修を進めていきました。

第1回 ガイダンス

今回の研修の概要をtecoLLCプロデューサー對馬眞から説明と講師紹介、その後、参加者のみなさんそれぞれがどんなことをしたいと考えているかをtecoLLC代表の立木祥一郎、建築家の蟻塚学さん、十和田市現代美術館副館長であり、美術家の藤浩志さんとお話しながら、探っていきました。
十和田の野菜に関連したもの、方言にちなんだ商品名など、第1回目にもかかわらず、十和田への想いが感じられるアイデアがたくさん出てきました。

第2回 提案商品検討

建築家の蟻塚さん、tecoLLCの立木、對馬と一緒に、昨日それぞれが出してくれた案について、コンセプトやスケッチなど、文章や絵にしてもらい、自分の考えているイメージがどう伝わるか、いい点、悪い点など、客観的に見ていきました。
蟻塚さんには十和田空想デパートのための展示台と会場のデザインをお願いすることにしており、最終的にどんな商品が出来てくるか、それを蟻塚さんの作る空間が受け止めてどんなデパートになるか、とても楽しみです。

第3回 商品開発ワークショップ

ザリガニワークスの武笠太郎さん、坂本嘉種さんをお招きして、商品開発につながるアイデアの出し方をワークショップ形式で学んでもらいました。
ザリガニワークスさんはコレジャナイロボ、自爆ボタン、土下座ストラップなど、ユニークでありながらも鋭い視点とセンスが光る商品を数々、世に送り出しています。そこで、ザリガニワークスさんがそれらのアイデアを実現するまでのお話を聞いて、参加者にはアイデアを出す練習として「○○専用○○」をテーマにその場で考えて発表してもらいました。出て来た案は、「授業専用ぶつかっても痛くないチョーク」「小さな子どもと遊ぶとき用のお馬さんごっこ専用の靴」など、それぞれの関心事が伺えるものです。
ザリガニワークスの武笠氏によると、「自分達が作っているようなおもちゃの場合、潜在的な需要を引き出すことが重要。普通のマーケティングが通用しない。」とのこと。そしてアイデアを研ぎ出し、どのポイントに向かって仕上げていくかのバランス感覚は、「おもしろい」を追求するプロの情熱を感じさせてくれました。

第4回 売れる商品、売場について

株式会社ジョージクリエイティブカンパニー代表取締役の天野譲滋さん、株式会社オアゾ代表、bank towada主宰の松田龍太郎さんから、売れるショップの作り方など伺いました。
天野さんのお仕事は「人、モノ、空間、情報、流通をデザインすること」だそうです。わかりやすく言うとメーカーとデザイナーの間に入ったり、デザインやモノに関わる交通整理のようなことをされているとのこと。そういった役割の人がいてこそ、デザインもモノも本来の力を発揮できるのだと感じました。売れる商品、売れない商品をどう扱うか、仕事の作り方など、経験豊かな天野さんから、とても貴重で、説得力のあるお話を聞かせていただくことができました。

第5回 商品企画ワークショップ

十和田市現代美術館副館長、美術家の藤浩志さんによる商品企画ワークショップを行いました。
まずはじめに、参加者を2人組に分けて、時間を区切って自己紹介をしてもらい、それを受けて、ペアを組んだ相手を全員に向けて紹介してもらいました。簡単なようですが、短時間で相手の情報を聞き、それを人に伝えるのはなかなか難しく、戸惑いながらも全員に体験してもらいました。
次は、各自の商品案を使ってのワークショップです。ペアを組み替えて、自分と相手の案を組み合わせて、新たな案を作り出して発表してもらいました。時間制限のある中、相手と協力してアイデアをまとめるのはゲームのようで、楽しみながら頭の中がほぐれていく感覚を味わうことができました。

第6回 提案商品検討

第3回から第5回まで、講師の方々の考え方を聞いて、ワークショップなどで体験してもらいましたが、徐々にそれらを自分の案に活かしながら、考えを深めていきます。
第6回目は十和田市現代美術館メディア担当顧問の小林央子さんをお招きして、各自の商品案と、最終目標の十和田空想デパートについてさらに整理しました。
参加者それぞれが今どんな状況にあるのか、また、デパートとして必要なものは何か、売場、商品のテーマなど、小林さんのファシリテートで今まで気づかなかった問題を探っていきます。POP、紙袋など、共通ツールの必要性から、各商品の課題まで、改めて考えていくと、気になる点がいろいろと発覚します。ここで気づいたことを踏まえて、十和田空想デパートの完成を目指して、さらに準備を進めていきます。

第7回 商品デザインについて

アートディレクター、グラフィックデザイナーの和久尚史さんから具体的なデザイン事例などを伺うとともに、各自の商品案の、特にデザインについてアドバイスをいただきました。
商品をどうやって伝えるか、また、より良く見せるために和久さんが実践している方法として、これまで関わった商品を見せていただきました。商品の良いところを探して、紹介してあげること、そのためにどんな方法があるか、それを考えるのがデザイナーの仕事とのこと。各商品の展示で使用するPOPは各自が制作、用意するとして、商品説明や伝え方を工夫して考えてきてもらうことにしました。

第8回 提案商品ブラッシュアップ

株式会社金入の代表取締役副社長、金入健雄さんと株式会社オアゾ代表、bank towada主宰の松田龍太郎さんをお招きしてお話を伺うとともに、参加者の各商品についてご意見をいただきました。
金入さんは、八戸のポータルミュージアムはっち、せんだいメディアテークにもお店を出しているため、そこでの売れ筋商品やオリジナル商品を見せていただきながら、金入さんが考える東北発のものづくりと、それを扱うお店についてお話いただきました。 東北の持つネガティブな要素を逆転して「東北ってかっこいいよね」と言われる商品を作り、それを扱うお店にしていきたいと熱く語る金入さんは、参加者の商品案にも「これはうちの店で扱ってみたい」「これは売れるんじゃない?」など、嬉しい言葉をかけてくださいました。受講生の商品が仕上がった後には、改めて商談の場面が訪れることになったら…と期待しています。

第9回 商品デザインブラッシュアップ

アートディレクター、グラフィックデザイナーの和久尚史さんによる、デザインの最終確認です。商品含め、宿題になっていたPOPなど確認してから、和久さんにデザインしていただいた十和田空想デパートのロゴと、フライヤー、フラッグ、タグなどをみなさんにお披露目しました。
一通りツールが揃うと、だいぶデパートとしての形が整って、実感が湧いてきます。そして、まだ決めていなかった、デパートで当日使用する仮想通貨について、みんなで話し合いました。その結果、仮想通貨の単位は「dsk(ダスク)」に決定。十和田では「だすけ」という言葉があるそうで、肯定の意味を持つとのこと。「だすけ」から「dsk」に。ちょっとおしゃれな雰囲気も漂います。

第10回 展示準備

tecoLLCの對馬と一緒に、最終確認とフラッグ等ツールの制作を行いました。設営の前日ですので、ほとんどの方の商品は完成しており、後はタグ取り付けなど細かい作業を残すのみ、といったところでした。
大量のフラッグと当日使用するdskチケットを制作してから、イベント当日の動きなどについて確認して、次の日の設営に臨みます。

第11回、12回 会場設営、プレゼンテーション

十和田空想デパート開催に向けて、設営を行いました。研修としてはこの日が最終日です。各自の商品を持ち込み、設置と会場の装飾などを行いました。

また、ここで初めて展示台が登場です。建築家の蟻塚さんがデザインした、白くペイントされたりんご箱に蟻のような足と、箱の隙間からもれる光が美しい、ちょっと宇宙人のような形の台。この台にそれぞれの商品を置いてみると、一段と商品が魅力的に見えます。 会場が完成した後、参加者全員に最後のプレゼンテーションをしてもらいました。第1回目からみなさんのアイデアを聞き、経過を見てきましたが、アイデア自体は始めからみなさんほとんど変わることはありませんでした。

しかし、講師の方々のお話や、ワークショップなどを通して、さまざまな考え方を学び、内容が少しずつ変化していきました。そして11月11日(日)の十和田空想デパートで一般のお客様に商品を手に取ってもらい、反応を目の当たりにすることで、自分の商品について、また、ものづくりについてさらに考えが深まっていくのではないでしょうか。

 

 

「十和田空想デパート」当日

11月11日(日)に十和田空想デパートとして、十和田市現代美術館球形スペース(カフェ)を会場に、研修参加者が各自考えて、制作した商品を展示販売しました。
この日は参加者全員が売場に立ち、自分の商品をお客様に説明しながら接客を行います。

売場に並んだ商品は…
・ 野菜の服(自然農法の大根とセットで)
・ ミニチュア野菜の小物 ・ 野菜染めのアクセサリー
・ ながいもの形のボールペン ・ 十和田湖クリップ
・ めで鯛エビスビール ・ 蜜ろうキャンドル
・ 新聞紙のぼうし
・ 壊すための木製おもちゃ、ぶっかすロボ
・ 中身は秘密のチョコレートのタマゴ

 

 

この日は約600名のお客様が十和田空想デパートにお越しくださいました。
デパートに並んだ商品は、普段お店で目にするものと比べると、未熟なところもあると思いますが、「これを作りたい」と思ったひらめきを、そのまま育てて商品として仕上げています。そういった商品をお客様がどう思われるか、不安もありましたが、全ての商品が1つ以上売れて、また、完売した商品もありました。
今回はイベントとしての展示販売でしたので、これらの商品が今後、正式な形で商品となるまでには、いろいろな課題がありますが、たくさんのお客様に手に取っていただけたことは、大きな自信になったことでしょう。

 

 

 

今回の研修では、ものづくりの方法についても、一つのテーマを持っていました。それは「時にはルールや方法論に縛られずに余白を残す。そこに、可能性を探してみる。」というものでした。
そのため、講師の方々、研修に参加してくださった皆様には具体的な方法を示すことが少なく、みんなで力を合わせて、手探りで進めて来ました。自分たちで道を探しながら進まなくてはならないため、悩むことも多かったと思いますが、実際のものづくりの場面でも、道が決まっていないことが多々あります。
この研修の中で一連の流れを体験していただき、商品を仕上げたことが、参加していただいた皆様の力になれば嬉しく思います。
ご協力いただきました皆様に心からお礼申し上げます。

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